Emilyについて

MIX作業は孤独である。などとかっこいい事を言いたいのだが、これはただ単に私の生活が割と孤独で有る為である。つまり何をしたって孤独なのだ。音楽を編集して、コーヒー豆を引き、うどんを作り、うどんに入れるほうれん草が縮んでいれば『あ、冬だ』と気づくのである。そうして7年が過ぎた。

このEmilyという曲も1984と同じ機材と理屈で編集してある。音源は全てLogicの音源を使っている。ドラムは叩いてないし、ギターもベースも現実のアンプには繋げていない。本当は全て楽器でやりたいのだけど、なかなか実現までの道のりは険しい。

昔は三人編成のバンドで、よくこの曲を演奏していた。そのうちのメンバー一人が椅子に座って俯き、ボソッと『せめて半年に一回くらいはモテたい。』とつぶやいた頃にはバンドにはもう修復不可能な亀裂が入っていたのかもしれない。

三人編成の頃、レコーディングスタジオでEmilyを録音してエンジニアにMIXしてもらったことがある。結果は全く気に入らなかった。下手くそな演奏は誤魔化され、さっきまで弾いていたギターとは違う音がスピーカーから流れた。これではイカンとスタジオを変えて録音したが、結果は同じだった。なぜだか録音した音に余計な事をしたがるのである。今なら具体的にわかるのだが、当時は全く知識がないので指摘できない。ただこれじゃイカンという事ははっきりとわかるのだ。

多分その辺の違う安スタジオで録音しても結果は同じだろうと悟った。それなら自分でやってしまうと思った。そしてそれからは編集、コーヒー、うどんの輪廻を永遠にグルグル回っているのである。そしてたまに思う。『うん。そうだな。半年に一回くらいはモテてぇな。』